一緒に踊りましょう

 

一緒に踊りましょう。
そうすれば少しは理解できるでしょうから。

それはとても美しい夜でした。感情の移ろいを楽しんだ後は星を指でなぞり、これからの人生を描きました。外界に目を向けるあまり置いてけぼりの心を天体に見立て、宇宙を航海したのです。星々が織り成す光の海で包まれ、感動のあまり涙を流しました。

そこは波紋が広がる程静かな場所です。私達の中にある安息の地は、せわしい自己によって輝きを増してゆくのでしょう。何も排除する必要はなかったのです。一度離れなければ、忘れなければ、新しい人として再開することも抱きしめることも出来ないのですから。

やがて影が引き昨日までの出来事を全て忘れたかのように、新鮮な気持ちで散歩に出かけました。鳥のさえずり、揺れる樹木、季節を連れた風に身を任せていると、小さな池に辿り着きました。光が風でゆらゆら揺れています。どんな素晴らしい一日になるかと心躍らせながら、水鏡に映る私に声を掛けたのでした。